がんで障害年金が受け取れる場合

文責:弁護士・社会保険労務士 鳥光翼

最終更新日:2021年11月22日

1 障害年金の3要件

 障害年金を受け取るためには、①障害の原因となった病気やけがの初診日に国民年金又は厚生年金に加入していること(加入要件)、②保険料の納付要件を満たしていること(納付要件)、③障害の状態が、障害認定日に、障害等級表の1~3(国民年金の場合は、1級または2級)に該当していること(障害程度要件)の3つを満たす必要があります。

 このうち、がんで障害年金を受け取れるか否かは、③の障害程度要件を満たすか否かにかかってきます。

2 病名ではなく、障害の程度で判断する

 障害年金は、ある特定の病気及び障害を有しているか否かではなく、どの程度の障害を持っているか否かで、受け取れるかどうかが分かれます。

 障害の程度は、障害等級で表されます。

 一般的に、1級は他人の介助がないと日常生活ができない程度の障害、2級は日常生活の制限が極めて大きい程度の障害、3級は就労上の制限が極めて大きい程度の障害とされます。

 がんの場合は、寝たきりに近い状態(1級相当)の方もいらっしゃれば、治療を受けつつもお仕事を継続できている(3級にも該当しない)方もいらっしゃいます。

 そのため、同じがんを患われているとしても、障害年金を受け取れるか否かは、個別具体的に判断する必要があります。

3 障害認定基準

 実際には、障害等級の判断は、障害認定基準というものによって行われます。

障害認定基準は、傷病ごとに判断要領が定められています。

 がんの場合、「第16節/悪性新生物による障害」という部分で認定基準が定められています。

 1級は「身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの」、2級は「身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの」、3級は「身体の機能に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を有するもの」と定められています。

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